共働き世帯のための住宅ローンとは

資金計画を話し合う若い共働きの夫婦

日本では、1990年代終盤に共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回り、その後も年々その差が開いてきています。妻も世帯収入の重要な稼ぎ手となっている状況では、住宅ローンの組み方も夫婦でできるだけ有利に考えたいものです。

世帯主が単独名義で借り入れる一般的な住宅ローン以外に、共働き世帯に合った住宅ローンにはどのようなものがあるのでしょうか。

ペアローン

夫婦それぞれに収入がある場合の住宅ローンの組み方の一つに「ペアローン」があります。ペアローンは、同一の金融機関から夫婦別々に住宅ローンを組むもので、それぞれの契約内容に基づいて返済していきます。例えば、総額で4,000万円の融資が必要な場合、夫が2500万円、妻が1,500万円を借り入れ、それぞれの金利、借入期間といった条件に応じて毎月返済していくわけです。購入物件の所有権は双方が有します。

 

2本の住宅ローンを組むので、団体信用生命保険の加入も夫婦それぞれが行います。万が一パートナーが亡くなった場合は、相手方の住宅ローンの返済義務はなくなり、自分が契約した分の住宅ローンを返済していくことになります。

 

ペアローンの最大のメリットは、二人分の収入額に応じた借り入れができるので、どちらか単独で融資を受けるよりも多くの借入金額で住宅ローンが組めるという点です。さらにもう一つ、夫婦それぞれの住宅ローンで所得税の控除が受けられるということもメリットになります。当然個人の条件により控除額は異なりますので、詳細は具体的な内容に応じて確認してください。

 

一方、ペアローンのデメリットとしては、2本のローン契約になるので、融資手数料、ローン保証料、各種保険料などの諸費用がそれぞれにかかってしまうことが挙げられます。ただし、メリットである二人分の住宅ローン控除額に照らすと、比較的早期に相殺されることもあるので、シミュレーションしてみるといいでしょう。

 

もう一つのデメリットとしては、前述しましたが、パートナーが亡くなった場合に自分の契約分のローン返済はそのまま継続されることが挙げられます。

収入合算

家と計算機による住宅ローン試算のイメージ

「収入合算」とは、夫婦二人分の収入を合わせた額で融資が受けられる住宅ローンです。例えば、夫の年収だけでは融資限度額が低くて希望の物件を買えないという場合、妻の収入を加算することで融資額を増額することができます。ただし、単純に妻の年収を足した金額が適用されるわけではなく、収入合算者(この場合妻)の年収の割合などの規定は金融機関により異なりますので、都度確認が必要です。

 

【連帯債務】

収入合算には二つの方法があり、まず一つ目が「連帯債務」です。連帯債務は、夫・妻のいずれかを「主債務者」、もう一方を「連帯債務者」とするローン契約です。この契約では、夫婦二人とも債務者となり、借入額全額の返済義務を負うことになります。購入物件の所有権は双方が有します。

 

民間金融機関の住宅ローン契約では、多くの場合、団体信用生命保険への加入は主債務者しかできませんが、「フラット35」では連帯債務者の加入も可能です。また、夫婦とも債務者になるので、二人とも住宅ローン控除の対象になります。

 

【連帯保証】

「連帯保証」は、夫婦二人の収入を合算して融資を受けられますが、主債務者として債務を負うのはあくまでもローン契約者です。もう一方は「連帯保証人」となり、主債務者が返済を滞納したり返済不能に陥ったりしたときに、代わりに債務を負う義務が生じます。購入物件の所有権は主債務者のみが有します。

 

連帯保証人は契約の上で債務者ではないので、団体信用生命保険への加入はできません。また、住宅ローン控除も適用されません。

ペアローン・収入合算利用の際の注意点

ペアローン、収入合算を利用して住宅購入の融資を受ける際には、気を付けなければならないことがあります。それは「登記」です。夫婦それぞれが所有権を有する場合、その分の登記申請が必要になります。借入れ負担金額に応じて不動産の共有持分が決まりますから、夫婦といえどもその点は明確にしておくことをおすすめします。

 

また、万が一、ローン返済の途中で売却という話が出た場合、共有者双方の合意がなければ売ることができません。

 

もう一つの注意点は、将来のライフプランを考えて借入れ方法を選択するということです。主に妻の収入について、子供が生まれるなどで一定期間減収になることは可能性として大いに考えられます。そのときに返済負担が重くのしかからないように、借入れ当初からそのような生活の変化を見越して、自分たちに適した住宅ローンの形態を選ぶようにしましょう。

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