住宅購入時に「頭金」はどのくらい必要か

住宅購入資金のイメージ
住宅購入の際には、多くの人が住宅ローン融資を受けることになります。このとき、自己資金として「頭金」を支払うことも一般的に行われています。では「頭金」を支払うことにどのような意味があり、どの程度用意すればいいのでしょうか。ただ何となく必要だと思っている「頭金」について、その効果や金額の目安などを見ていきましょう。

「頭金」とは何か

住宅を購入するときに、なぜ金融機関から住宅ローンの融資を受けるのかというと、数千万円以上にもなる住宅を現金で購入できる人は非常に限られるからです。

 

基本的に融資を受けるのは住宅の購入価格に対してですが、「頭金」とは、この住宅ローン融資に際して購入価格の一部を現金で支払う、その手持ち資金のことを言います。

 

頭金はあくまでも物件購入価格の支払いに充当する部分を指しますから、いわゆる「自己資金」とは異なります。「自己資金」は、購入時に必要な仲介手数料や融資手数料、登記費用といった諸費用を含めた、自分で準備する現金資金の全部を表しますから、頭金も自己資金の一部ということになります。

「頭金」の効用

住宅購入時の頭金の効用イメージ

では、頭金を準備し支払うことで、購入者はどのような効果が得られるのでしょうか。

 

頭金は住宅購入資金の一部として支払うわけですから、第一に「住宅ローンの借入額を減らす」という直接的な効用があります。同じ物件を買うにしても、借入額が少なくなれば、毎月の住宅ローンの返済額が下がりますから、返済が楽になります。見方を変えれば、返済可能な借入れ上限金額に頭金を追加することで、より高額な住宅を買える可能性が出てくるとも言えます。

 

例えば3,000万円の物件を購入するとして物件価格全額の融資を受けた場合、35年ローン、固定型金利1.5%だとすると(ボーナス返済なし)、返済総額38,579,239円・毎月返済額91,855円になります。一方、頭金を1割の300万円用意し2,700万円の融資を同じ条件で受けると返済総額34,721,315円・毎月返済額82,670円になります。実に返済総額で400万円超、月々の返済額で9,000円超の差額が生まれます。

 

また、金融機関にとっては、数千万円以上になる資金を住宅ローンとして面識のない個人に貸すのですから、返済に関しては常にリスクを負うわけです。ですから、事前に借り入れる人の身元や収入状況、信用情報などを調べて審査を行い、長期間の返済が可能かを見て融資可否を判断します。このとき、頭金を支払うことは、融資可否判断や融資条件に有利にはたらくと考えられます。「頭金が用意できる人」、つまりきちんと収入があった上で貯蓄する能力がある人として、金銭面での信用が得やすくなるのです。

 

実際に頭金を支払うことで、融資条件が優遇されることもあります。一例として、住宅金融支援機構が主管する「フラット35」では、住宅購入費用の90%以下の金額で融資を受ける人と、90%超の金額で融資を受ける人では適用金利に差をつけています。当然90%以下での融資に対する金利の方が低くなります。

 

金融機関ごとの独自の住宅ローンでも同様の対応をしている場合があるので、住宅ローンを組むときは融資条件の詳細を確認するといいでしょう。

 

このように頭金を準備・支払うことは、住宅ローンの返済負担を軽減する効用があると言えます。

頭金なしでの購入について

住宅購入時の「自己資金」として、不動産登記費用や住宅ローン融資手数料、引越し費用など、諸費用分は必ず用意しなければなりません。これらの総額は決して低いものではないので、物件購入の頭金にまで手が回らないということもあるでしょう。さらに、頭金の貯蓄を待っていたら、持ち家を手に入れる時期が大きくずれ込んでしまうことにもなります。そうなると、高齢になりリタイア後も住宅ローンの返済が残り、老後の生活資金を圧迫してしまうことになりかねません。

 

ここまで頭金の意味やメリットをお伝えしましたが、頭金の準備は必ずしなければならないものではありません。当然、金融機関では頭金なしの物件購入価格全額の融資もしてくれます。ただし、前述のように融資条件が厳しめになるので、そのことを理解して購入物件を決めたり、融資してくれる金融機関を決めたりする必要が出てきます。

 

頭金は用意できるに越したことはありませんが、収入・貯蓄状況、将来にわたるライフプランを考えながら、購入時期を判断していけばよいのではないでしょうか。いずれにしても、きちんとした資金計画・将来設計が大切になります。

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