不動産の個人売買がオススメできない理由
土地や建物等の不動産売買は、不動産業者が売買または仲介で携わる際、宅地建物取引士の資格が必要です。しかし、自己所有のものに限り無資格でも不動産売買を行うことができます。
ただ、自己所有の不動産の場合でも個人間売買はオススメできません。不動産業者が売買のお手伝いをする仲介を依頼し、不動産業者を介して売買されるのがオススメです。
民事訴訟の25%が土地建物に関連
個人間売買がオススメできない理由に、契約書等の内容および双方の認識不足が挙げられます。特に高額な不動産取引の場合は詳細にわたる契約書を作成し、お互いが理解しないとトラブルの元です。
地方裁判所における民事訴訟では毎年約15万件の民事訴訟が発生する中、土地建物の割合は約25%と1/4にのぼります。賃貸等幅広い内容にはなりますが、契約書をきちんと交わしても毎年多くの訴訟が起きてしまうことを考慮すると、専門家のチェックが入った契約書の作成が最低限必要になることは容易に想像できるのではないでしょうか。
ちなみに、一般的な契約書内容を下記になります。
●物件の詳細情報
住所、土地面積、建物面積、構造(木造、鉄骨など)、築年数など。
●所有権移転および引き渡しについて
●売買価格
価格の内訳(土地、建物)、支払いスケジュールや方法(一括、分割、ローン利用等)。
●手付金の取扱い
手付金の額や期日、返還条件など。
●引き渡し日・内容等
具体的な日時と場所、引き渡し時の物件状態(空家か家具つきかなど)。
●契約解除条件
契約解除の条件や負担金等について。
●契約不適合責任
引き渡しが終わった後、売り主が気づかなかった隠れた欠陥が見つかった場合の売り主が負う責任の有無、および内容について。
●契約違反時の対処方法
違反が発生した場合の違約金や解決手段(調停、裁判など)。
●その他特約事項
物件に特有の条件や、当事者間で合意した特別な事項。
個人間売買がトラブルになる主な要因は契約不適合責任
先程ご紹介した契約内容について、契約不適合責任というものがありました。これは、契約し引き渡した後の不具合等について売り主が負う責任で、2020年に民法改正で導入された新しい法律です。
しかし個人間売買では、この契約不適合責任を免除する特約を盛り込んだ契約にすることで、売り主の責任が無くなります。
これを契約不適合責任免責と言いますが、不動産会社を介さず個人間売買をする際の売り主がこの免責を知らない場合、売り主にとっては契約後でも責任を負う可能性がでてきます。
つまり、個人間売買においては売り主は不動産会社を介して売買を行う方が安心となります。一方、買い主にとっては契約不適合責任免責は売り主有利なため、慎重な判断が求められます。もちろん、契約不適合責任免責に不満がある場合は契約しなければいいだけなので騙されることはありません。
尚、売り主が不動産会社の場合などは全て免責されるわけではありません。しかし、個人間売買の場合は契約内容が契約不適合責任免責になっていれば、それが適応されてしまいます。
売り主も買い主も、まずは知ること
問題があった際、売り主の責任がどこまで問われるのかは契約内容や現状等によって違います。個人間売買において契約不適合責任免責での契約であれば、引き渡し後の売り主の責任は無くなりますが、それを理解せずに買い主が納得できないからと言って訴訟を起こしても、時間とお金の無駄になってしまいます。
逆に、契約不適合責任免責でない契約内容で売却した場合は、売り主の責任を問われる可能性も十分でてきます。
また、売り手が自分に都合の良い契約書
トラブルがあった際に誰がどこまで責任を負うのか。それを明確にし理解することが、トラブルを未然に防ぐために必要なことです。そのためにも、第三者の専門家を介して売買を行うことが理想です。
もちろん、不動産会社を介することで仲介手数料が発生します。仲介手数料は売買価格の3〜6%程度になるため、売買価格が大きくなるにつれて手数料も多くなりますが、事後トラブルを防ぐための保険と考えれば妥当な金額です。
妥当な金額とは思えない場合は、個人での売買で完結させるのも選択肢の1つですが、その際はトラブルにならないようしっかり準備していきましょう。
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