断熱性能はどれぐらい必要?
日本では、2050年までにカーボンニュートラルを目指しています。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、その排出量を「実質ゼロ」に抑えるという考えです。住宅の場合は、断熱性能を上げ電気というエネルギー消費を抑え、太陽光発電によるエネルギー使用によって二酸化炭素排出を抑える、というのが基本的な考え方になります。
一言で言えば、省エネのレベルを上げていこうということです。では、国は省エネのレベルをどこまで目指してほしいと思っているのか?順番に解説していきます。
日本の断熱性能の基準
まず、日本は地域区分というものがあります。この区分毎によって基準が違い、以下の表にまとめめられています。
滋賀県は地域区分5に属しますが、誘導基準となっているUA値0.6が基準となります。UA値(=断熱性能)の数字は小さくなるほど高性能になりますが、一般的な建売りでも近年はUA値0.6ぐらいが担保されています。よほどローコストな住宅や手抜き工事がない限り、新築の断熱性能に関しては国が推奨している基準は概ねクリアできるというのが現状です。
体感としても十分で、冷暖房の使い方を間違えなければとくに不満が出ることはないです。住宅会社や営業マンによっては、もっと高性能でないとダメというケースもありますが、暮らし方や間取りの工夫で十分快適な暮らしができます。
中古戸建ては築年数と断熱性能を要確認
新築の断熱性能は、どこで建てても最低限の基準は担保されているとご紹介しましたが、問題は中古戸建です。築10年程度経っていれば国が推奨するUA値0.6をクリアしている住宅は少なくなります。築15年以上になると断熱性能がさらに低いケースが増えてきます(もちろん、築10〜15年程度でも国の断熱性能をクリアしているケースもありますが、そういった住宅を見つけるのはとても難しいです)。
とくに窓の性能が低いケースが多いので、窓のリフォームが必須になるケースが多々あります。築20年以上にもなるとさらに壁内や窓の断熱性能が低くなるので、国が推奨する断熱性能を考慮するとフルリフォームに近い対応が必要です。
ただ、断熱性能は見た目では分からないので、一般の方はリフォーム無し、または水回りだけのリフォームで十分住めると思われるケースが多いです。しかし、住んでみると冷暖房の効きが少し悪く高い電気代に悩まされることも少なくありません。
耐震性を考えると、築年数が浅い方がいい
中古戸建を購入しリフォームを検討する際、築年数は一般の方が思っている以上に重要です。築年数が浅いと価格が高くなりますが、断熱性能という基準で考えると、築年数が経っている安い中古戸建は安いだけの理由があります。それは、フルリフォームしないと断熱性能が上がらないという点です。安い中古戸建をフルリフォームする場合、結果的にその方がコストが高くなるケースがあります。
また、耐震性を考慮する際も築年数が重要です。2000年以前の建物は最新の耐震基準を満たしていない可能性が高く、大きな地震で倒壊の危険性があるため、水回りや断熱性能だけでなく耐震補強のリフォームも必要です。
断熱性能が低く少し暑い・寒い程度であればいいのですが、地震で家が倒れて命が無くなっては本末転倒です。
2000年以前の建物が全てが危険というわけではありませんが、大きな地震で被害を受ける確率で言えば築年数が古い方が高くなります。中古戸建を購入される際はぜひ目に見えない断熱性能・耐震性の気にかけてみてください。
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